「『赤毛のアン』の秘密」

 小倉千加子著 「『赤毛のアン』の秘密」(岩波現代文庫)を読み終わった。ありがとう!小倉さん!!

モンゴメリが、アン・シリーズの最終章「炉辺荘のアン」を書いて亡くなったのが、1942年。その10年後に私は生まれ、そのシリーズを読み終えたのは15歳、モンゴメリの没後四半世紀だ。物語の結末は絶望的で、世界が閉じるようだった。それはモンゴメリの絶望であり、キーワードは「結婚」。小倉さんは書く。

「モンゴメリは、自分が作家として真実を描く『黒い羊』に憧れながら、結局は自分では半分しか信じていない『白い羊』の価値を抱えて生きていることを知っていた。どうせ、『白い羊』として生きるなら、最初から何の逡巡もなく『白い羊』として生きてきたダイアナのほうがよほど賢明ではないか。「炉辺荘のアン」の結末部でのアンのセリフ『かわいそうな子なしのクリスチン』は、阿鼻叫喚の世界にいたモンゴメリの自己肯定の絶叫である」

モンゴメリとバージニア・ウルフが同世代人だったことも了解した。保守的なモンゴメリもフェミニストのウルフも自殺で生涯を終えた。どちらに転んでも、だ。

70年代にフェミニズム、当時はウィメンズ・リブ、に触れて息を吹き返したものの、あのとき閉じた世界は開かない。ほんのわずかに、自分の息のできる空間を、押し広げ押し広げして生きている。そんな自分を、ただ内的な指向性として自覚するだけでなく、歴史と時代と精神史で分析され語られて、命拾いする。「アン」の正体が見えるのに、40年以上が過ぎた。こうしてある時、メッセージが届けられ、わかってくるのだから、生きているって素晴らしい。


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