ソナタ

 ピアノを習い始めて一年。「ブルグミュラー25番」一辺倒だったのが、さすがにおなか一杯になってきたところに、「ツェルニー30番、やってみたら?見違えるように基本が身につくから」とアドバイスされた。なんでも、ツェルニーはベートベンのお弟子さんで、彼のソナタを弾くために練習曲をつくったのだとか。友人は続けて、「ベートーヴェンのソナタも一緒に始めよう。易しいのがあるから」と言う。まるで正統派ピアノレッスンの様相になって来て、これでは昔のように苦しい練習にならないかと、少し不安になってきた。

Macでソナタを視聴して、気に入った演奏をダウンロードした。耳を澄ましていると泣きそうになる。心の風景が変わっていく。聴くだけで充分ではないだろうか。果たして弾けるようになるんだろうか、弾きたいんだろうか・・・・。そうっと、右手をさらい、左手の和音も試してみると、また泣きそうになった。泣きそうになるんなら、弾けるようになるかもしれない。

何のためのピアノかといえば、身近に感情を引き寄せ、浸り、その時間を生きていたいから。そこに居たいから。味わうもののたくさんある、豊かな、「よく作られた」作品をなぞるのは幸せなことだろう。揺り動かされる気持ちを素直に味わえるだろう。身体を巡って表現されるものが、自分を助けるだろう。ゆっくり、ソナタに参入しよう。
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