ゆっくり

「人生は短し、芸術は長し」とは、よく聴く格言だが、初めてその本意に触れた。元々の「芸術」は「技術・医術」を指し、「何かを成し遂げるには、時間がかかる」ということだそうだ。

大学で哲学を講義して来た友人に、久しぶりに会った。退職して「ほとんどうちに一人でいるんだよ~~」とぼやくので、「そうなの?ゆっくり、哲学をひもときながら暮らしてるの?」と尋ねると、「実は、ピアノを弾いてるんだ」とのこと。いっきに意気投合してから、「それにしても、なかなか技術は身に付かないものだねぇ」と、二人でぼやくことになった。

ひょんなことから「古典ギリシャ語講座」に通い始めたと話すと、「ああ、いいよねぇ、ギリシャ語、懐かしいなぁ」とのたまう。若い日に、ギリシャ語とラテン語を通過したのだそうだ。そう聞いて、こちらは、のどかにビックリした。

ちなみに、「人生」と訳されている言葉は男性名詞、「芸術」は女性名詞。すべてのもの、ことに、男性、女性、そして中性とジェンダー分けをするのは、違和感がある。とはいえ、たとえば、同じ「いのち」を意味する単語にも、「自然のいのち」を表す女性名詞があると聞くと、言葉以前の世界観は、膨大な体験智を持つのだと驚嘆もする。

ギリシャ語から垣間見る世界は、全く違う視点から再編して、これからに繋げる道具のよう。ゆっくりやろう。急がば回れ。間に合わないかもしれないけど。
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