盲ろう者ヘルパー研修

 盲ろう者の介助をするヘルパー研修に参加した。スキルアップのため、2年に一度の参加が義務づけられている。テーマは「認知症への対応」だった。聞こえず見えずの中で認知症を発症するのは、本人にとって、つらく困難なことだろう。それをサポートするには、盲ろうの理解だけでなく、認知症への理解も必要だ。講義は、地域包括支援センターの職員によって、冊子を使いながらの丁寧な内容だった。講義の後、質問が寄せられたが、そのやりとりが、圧巻だった。

ご自身もろう者で、難聴者の相談支援員をしているという方が、質問した。

質「難聴の方が通う事業所で、職員が、よかれと思って、その方の耳元で大きな甲高い声で話しかけます。その度に、難聴の方が眉をひそめます。『かえって聴き取りにくい様子なので、正面からゆっくり話していただいた方がわかります』と伝えるのですが、職員は態度を改めません。どうすればよいでしょうか。」
答「事業所の苦情に上げてください。事業所はすぐにその職員に対処する必要があります。匿名でもかまいません。サービス向上のための大事な申し出になります。改善されないようでは、かなり質の悪い事業所ということになります。」

質「難聴の方が親と暮らしており、母親の認知症が疑われます。しかし、難聴の方が認めず相談につながりません。困っています。」
答「大げさに思われるかもしれませんが、必要なサービスを受けられない状態に当事者を置くことは、ネグレクトといわれる虐待です。高齢者の虐待には、息子さんの係わっているケースが多いのも実情で、長いことお二人で暮らしていると尚更おこりがちです。早速、相談員が包括支援センターにつながり、手段を講じてください。息子さんに納得していただくまで、ねばり強く訪問してください。家族があれじゃ仕方ないなどとあきらめず、第三者としてできることをしましょう。また、虐待してしまったとしても犯罪者ではないという理解が大事です。」

また、こんな質問もあった。
質「盲ろう者で認知症を持つ方のところへ訪問しています。要望されることがしばしばトンチンカンになるので、とまどいます。ご家族に聞きながら対応した方がいいでしょうか」
答「サービスは、当事者のためのものですから、多少トンチンカンでも、対応できることならそのままでいいと思います。本人の自尊心を一番大切にしてください。」

身体しょう害を持つ方たちが牽引してきた「当事者主権」の理念は、高齢者福祉に貢献している。現実は、ちゃんと進んでいる。

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