奏楽堂

時々、上野の東京芸術大学構内にある奏楽堂へ、出かけるようになりました。ホールの正面に据えられパイプオルガンの姿が美しくて、その前に座っていたいのです。今日は「英国ルネサンスと現代の音楽」という、入場無料のコンサートに行きましたが、内容に興味がある以上に、奏楽堂の中に居たかった、というのが本音です。

音のセッションを受けるような気分です。音が、率直に体に働きかけて来ます。それはどうも私だけではないようで、行く度に、近くの席の人が爆睡している姿に出会います。始まる前まで、専門的な話を熱心にしていた人が、演奏が始まると、グググッと気持ちよさそうに寝息を立てています。
「音楽って、そうでなけりゃ」と、密かにホッと共感します。

奏楽堂へ行くのには「湯島」からもいいよ、と教えてくれた友人がいます。不忍池の端に出て、弁財天を通り抜けながら上野の山に入っていきます。駅の喧噪からも遠くて、小さな隠れ家に向かうのにはうってつけです。少し坂道を登って歩くので、ますます音のセッションに向けて、身体の準備が整います。

演奏家って体操の選手のようです。良く鍛えた頭脳と身体で、音の技を繰り広げるからです。憧れと驚嘆に浸っているうちに、いつの間にか自分の内側に滑り込みます。生まれ変わるチャンスが本当にあるなら、たくましく美しい演奏家になりたいと、夢見ます。
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