飛天遊

今年から、東京交響楽団の会員になりました。その1回目の演奏会があり、出かけてきました。

音楽を聴きに行くというと、これまではほとんどが、「聴きたい曲を選んで聴きに行く」というパターンでしたから、間際になって、少し不安になってきました。聞いたこともない、好きも嫌いもわからない曲を聴きに行って、つまらなかったらどうしよう、帰りたくなったら途中で席を立つか、いやもったいないだろう、など。でも実際に席に着くと、ワクワクしてきました。旅行に出かけるような気分です。

「飛天遊」という曲で、舞台の奥の中央に据えられた大きな和太鼓が鳴り出しました。
それと同時に、自分が黒雲に乗り、大雨を噴射させながら、地面から飛び立ちました。日本の上空を離れ、ユーラシア大陸の奥に向かって、ドロドロと雷を落としながら、踊るように進むのでした。
遙かに見渡すと、ユーラシアの端の向こう側に、ブリテン島が見えました。
急に、「私はこれから、幾たび、どんな想いを抱えて、この空をイギリスへ飛ぶことになるのだろう」と、現実のことを思いました。そして、出来ることなら、飛行機などではなく、今この時のように、黒雲に足を踏ん張って、猛スピードで駆け上がり駆け下りて、彼の地へ着いてしまいたいものだ、と願いました。

曲は乱舞のように、大狂乱のごとくに、騒ぎ立ち湧き上がって、急に跡形もなく消えて、終わりました。私の空飛ぶ夢想も終わりました。でも、なにかが揺り起こされました。そして私に刻まれました。

知らない音楽に出会うおもしろさを堪能しました。
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