青木やよい「ベートーベン」

平凡社新書から「ベートーベンの生涯」が出版されています。著者はエコロジカルフェミニストとしても有名な、青木やよいさんです。帯には「ベートーベン研究五十年余のすべてを投入した渾身の力作 数ある伝説を覆し、時代を超越する『自由人』の姿に迫る」とあります。

読み始めると止まりませんでした。その魅力は、著者の想いがほとばしっていることと、時代考証に、フェミニズムの視点が、しっかり行き届いている点です。なんと女達が活き活きと芸術を深く理解し、愛し、芸術家を支え、文化の構築に貢献していることでしょう!

特にベートーベンとゲーテの出会いについては、ベッティーナ・ブレンターノという、二十五歳の女性の聡明な先見の明があればこそでした。そのいきさつを読み進めながら、できることなら、タイムトリップをして彼女のそばにいてみたいものだと願わずにいられませんでした。

暗い政治の状況下で、人の苦しみの中から哲学や芸術が生まれ出て、それが歴史を織りなしているのだと感じます。今のこの時代の中から、何を産み出すのかは、今を生きている自分にも、責任があるように感じます。先輩の女性達のすばらしい仕事が、勇気を与えてくれます。

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